CMA

CMA(Contact Moving Adjust) 療法

・ポリモーダル・レセプター(侵害受容器)に感作された筋スパズムスは難治化する
・素直になるトリガーポイントやツボでもない「コンタクト・ポイント(小萩造語)」がある
・放遠性(小萩造語)かつ集芯性(小萩造語)動作による連関性再構築(小萩造語)である
・麻酔的感覚下で健全な動きを受動的にバイオフィードバックさせる手技である
・可動範囲の全方向性の動きこそが、健全な動作の記憶を「思い出し体現(小萩造語)」をさせる
■ 背骨と肩甲骨 背骨と骨盤
 拙著である「写真で見る肋骨療法(エンタプライズ)」で詳しく説明してしましたが、「肋骨と肩甲骨と脊柱と上肢」は、「フライホイール」が「肋骨」・「カウンターウェイト」が「肩甲骨」・「シャーシー」が「脊柱」・「シリンダー」が「上肢」と同じはたらきをします。
 「骨盤(腸骨・寛骨・坐骨と仙骨と尾骨)と脊柱と下肢」は、「フライホイール」が「骨盤」・「カウンターウェイト」が「腸骨」・「シャーシー」が「脊柱」・「シリンダー」が「下肢」と同じはたらきをします。
 「2足歩行」をする人類と、「4足歩行」をする有蹄類との、肩関節と股関節の意義の違いを考えれば、関節の目的の大切さがわかります。
■ 奇蹄類・偶蹄類・人類の足と全身連動性
有蹄類という蹄(ひづめ)を持った草食動物で、奇蹄類と偶蹄類がいます。
奇蹄類はウマ・バク・サイの3科23種で、偶蹄類はウシ・イノシシ・シカなどの9科185種で、消化・奇襲捕食・全力逃亡という3つの機能と行動で進化してきました。
歩行には、「蹠行性(かかとを地面につけて安定して歩き遅い:ヒト・クマ)」・「趾行性(肉球で体を支えて、忍び寄り・急旋回が可能(イヌ・ネコ))・「蹄行性(指先だけで体を支えて走るのみで、スピードが出る:ウシ・ウマ)」の3種類があります。
少ない数の指で、指を真っ直ぐ伸ばして、指先で体を支えます。奇蹄類は第3指の1本だけで、偶蹄類は第3指と第4指の2本で体を支えるように進化しました。
「腸内細菌」を利用しますが、奇蹄類は単胃で、偶蹄類「複胃」で「反芻(すう)」を行い、「発酵」を利用します。この消火システムは走る能力よりも大切であり、偶蹄類は奇蹄類よりも、数で勝っています。

人類は、「2足歩行」へと進化したのは、単に「関節可動域の大きさ」と「らせん式消化管消化」を獲得できたからです。有蹄類は「横向きの肋骨と骨盤」ですが、人類は肋骨が「縦に起立した肋骨と骨盤」です。
 「フライホイール」と「カウンターウェイト」の2つを交差調和させて合成して駆動させることで、「安定しながら腕や足を大きく動かせる生き物」へと進化しました。

 カンガルーは、縦長の大きな足4つの爪に、長く体を浮かせられるシッポに、小さな腕に5本の爪を持ち、大胸筋も発達して、立ち上がった姿は「ボクシング・カンガルー」とも言われ、人間によく似ています。
 カンガルーは斜めに前傾して、スキージャンパーのジャンプ台での飛び出しフォームに似た起立をしますが、人間は、より脊柱を垂直に立てて起立する「肋骨・骨盤 起立システム(小萩造語)」によって、多機能行動を実現します。
■ 「こり」とは違う「筋スパズムス」
 慢性的かつ継続的な違和感や痛みは、「こり」ではなく「筋スパズムス」である場合が多いのです。違いがくわしくわかるレベルに達するには、勉強と経験が必要な症候です。
 「痛みの悪循環」は「痛みの記憶」となって負の定着をしてゆきます。それが「筋スパズムス」です。
 「筋スパズムス」は「トリガーポイント」とも言われます。圧痛は、筋膜内に見られる絃のように張った綱状やロープ状の索状硬結で、これを強く圧迫すると、パターン化された「2次トリガーポイント」や「3次トリガーポイント」とも言われる「関連痛」が出現します。

 0.9%生理食塩水をエコー検査の画像下で注射する「トリガーポイント注射」は、整形外科などで施術されますが、「筋スパズムス」の種類によっては、奏功しない場合もあります。
健康な細胞は自ら電流を発して細胞を再生します。その損傷回復電流によく似た微弱電流のことを「マイクロカレント」と言います。骨折などでは損傷回復電流を擬似的に作り出して、損傷組織再生を図ります。「マイクロカレント」も奏効しない場合もあります。
 あんま・指圧・マッサージでは、「筋スパズムス」に対しては無力です。むしろ、組織を壊してしまうトラブルが多く、回復機転そのものが消失してしまう問題が起こります。
■ コンタクトをしてムービング
 機械的・温度的・化学的・内分泌的・心理的な疼痛刺激に対し、筋肉の防御性収縮や脊髄反射が亢進してしまうと、筋肉の局所的な「筋スパズム」による筋攣縮が起こります。これらにより、筋肉の内圧が上昇して、血管が圧迫されて虚血が起こります。すると発痛物質が産生されて痛みが起こります。「痛みの悪循環サイクル」と言われるものです。この繰り返しが、筋硬結を起こして、さらなる「筋スパズム」が亢進されてゆきます。
「筋スパズムス」は、筋肉の起始停止という付着部の個性の公約数的ポイント《コンタクト・ポイント(小萩造語)》を特殊な触り方をしながら、「シリンダー」である腕や足を、放射状に楕円回転を加えると、不思議に消失してゆきます。
 「コンタクト」と「受動的脱力ロコモーティブ運動(小萩造語)」でなければならない「筋スパズムス」には、「触っているのか、触っていないのか」の境界上の「コンタクト」が奏功します。